WPC処理では、ショットする材料(メディア)や強さを変えることで、処理する素材の種類や目的に応じた性質を得ることができます。特にエンジンチューニングでは、メカニカルパーツのフリクションを低下させてパワーアップや省燃費化を追求することが多いですが、その切り札として当社がオススメするのが二硫化モリブデンショットです。特にピストンやメタルなどのしゅう動部品と相性がよく、慣らし運転時間の短縮にも役立ちます。
二硫化モリブデンショットとは
フリクション低減効果の高い固体潤滑剤の二硫化モリブデンを高速で打ち込む処理です。表面に塗るコーティングと違って、バインダー(結合材)が要らないため、二硫化モリブデンの特性がフルに発揮され、摺動抵抗を大きく減らすことができます。
二硫化モリブデンショットの特徴
弊社の二硫化モリブデンショットは、バインダを一切必要とせずに処理対象物の表面を含む最表層に固体潤滑剤層を形成することができるため、摺動抵抗低減効果が大きいことを特徴としています。また処理対象物に対し、弊社の場合WPC処理®を併用し固体潤滑剤を一部熱拡散させながら打ち込んでいるため、はがれや摩滅に対して非常に強固になっており、長期間に渡り摺動抵抗低減効果が持続します。
二硫化モリブデンショットの目的
二硫化モリブデンショットは、上記の特徴のため金属の摺動性向上を主目的に処理されます。
「摺動性向上」とは、滑りを良くして、摩耗を減らすということです。摺動抵抗の低減により車のパワーは僅かに上がりますが、大幅なパワーアップは期待しない方が良いでしょう。それよりも、摩擦熱の減少、焼き付き防止による耐久性の向上、レスポンスの向上が期待できます。
二硫化モリブデンショットの処理前後による表面の違い
ピストン、ピストンピン

ベアリングメタル(コンロッド)

ごらんのように、二硫化モリブデンショットを行ったパーツは、元の光沢を放った状態から、グレーがかった黒色の二硫化モリブデンそのものの色になります。
MoS2は内部にも浸透しているんです!
アルミなどの軽合金では、二硫化モリブデン(MoS2)の成分が表面だけでなく内部にも浸透します。これは処理法によっても深度が違いますが、一般的な処理で1〜3ミクロンまで打ち込まれています。これ以上打ち込んでもしゅう動抵抗低減効果は頭打ちになります。
二硫化モリブデンショットの処理パーツ例
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ベアリングメタル(コンロッド) |
ロッカーアーム、ロッカーシャフト |
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ピストンリング |
ピストン、ピストンピン |
パーツの組み合わせ、および装着状態
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ベアリングメタルは通常、2枚の半円をこのように組み合わせて使います。これによって、エンジンの組み立てが容易にできるようになっています。ちなみに、一見すると真円にみえますが、楕円状に作ってあります。 |
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シリンダーブロックへのメタル装着状態です。ここにクランクシャフトがのり、反対側のベアリングキャップが装着されます。 |
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シリンダーブロックへのピストン&コンロッド装着状態です。これは4気筒エンジンですが、写真では組み立て中のため1と4番が上死点、2と3番が下死点にセットされています。 |
二硫化モリブデンショットの効果
表面処理手法別しゅう動抵抗低減率特性 |
表面処理別機関慣らし運転効果特性 |
二硫化モリブデンショットのフリクション低減効果は、二硫化モリブデンやグラファイトによる「コーティング」を遙かにしのぐことが実機テストによって確認されています(図左)。
また、エンジンを組み立ててからしばらくは、各しゅう動部のなじみがでておらず、フリクションも大きいものですが、二硫化モリブデンショットのピストンは初期状態から優れたフリクション低減効果を発揮し、安定するのも非常に早くなっています(図右)。グラフでは、未処理、MD処理、MoS2ショットの3種をテストしていますが、未処理を100としますと、二硫化モリブデン(MoS2)ショットは運転初期から88と低く、慣らし運転50時間以降は85に安定します。
その他、二硫化モリブデンショットの効果については、技術資料を用意いたしましたので、「技術資料はこちら」ボタンよりご覧ください。二硫化モリブデンショットについてのご質問・問合せ等は「お問合せはこちら」からお願い致します。