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食品・医療ブログ

表面設計コンソシーアムのHPが出来ました。  

https://surfacedesignconsortium.com/

 

コンソーシアムのメンバーによる複合技術が最適な表面設計ソリューションをご提案

熱処理やコーティングなど単一の技術では対応できない表面に関わるユーザーのニーズ・オーダー(表面課題)に対し、計測・評価を経た根拠のある合理的で最適なバリューコストを高める表面設計ソリューションや、各種の表面損傷に対して寿命予測が可能な表面設計ソリューションを開発し提供する、表面技術のスペシャリスト集団です。

『表面を設計する』とは

たとえば、電気自動車や風力発電に使われる動力伝達部品やリチウムイオン電池用の金属箔を切断する金型は、必然的にその機能が『表面』に集約されています。 もし、ほんの少しでも『表面』が壊れることあれば、それはすなわち、その機能が失われ停止するということです。 それぐらい『表面』は私たちの未来にとって重要です。 『表面』に優れた機能を与えるにはベース素材の材料設計技術や表面改質技術にはじまり、その上に被覆する薄膜制御技術さらには最表面のテクスチャ制御技術までをトータルに高度なレベルで協調させる『設計』が必要です。 しかし現実には、そのような対処療法的な手法で本当にその課題は解決するのだろうか?とか、少しコストをかけても根本的に設計を見直せば格段に高性能化するのに?といったモヤモヤに遭遇するケースはよくあります。 私たちはそんなモヤモヤを共有しもっといいものを作りたいと願う『表面設計』のスペシャリスト集団です。 私たちと一緒に『表面を設計する』を始めましょう。

お問い合わせお待ちしております。

 

神奈川発のフラウンホーファーモデル?

神奈川発のフラウンホーファーモデル?

この度、弊社、微粒子投射技術を有する不二WPC・サーフテクノロジーと多様なコーティング技術を持つ日本電子工業様、熱処理技術を提供する武藤工業様、金型の設計・製造を手掛ける昭和精工様に加えて、豊富な分析評価技術を保有する神奈川県立産業技術総合研究所様、理論構築を担う横浜国立大学で、複雑な表面課題にシステムソリューションを提供する「表面設計コンソーシアム」 https://surfacedesignconsortium.com/)を組織しました。

単一の技術では対応できない表面に関わるユーザーのニーズ・オーダー(表面課題)に対して、表面技術のスペシャリスト集団がエンジニアリングの立場から共同受注し、計測・評価を経た根拠のある合理的で最適なバリューコストを高める表面設計ソリューション、また、各種の表面損傷に対して寿命予測が可能な表面設計ソリューションを開発し提供することを目的とするものです。

一方で、将来的に必要とされるであろう表面課題に対応する複合処理の技術開発も行っていきます。

そのソリューション・サービスの流れは、まずは企業のニーズや課題をヒアリングし、76のフラウンホーファー研究所の中から適切な研究所を紹介・マッチングします。

研究機構内での幅広く密接な協力体制により、それぞれの分野に特化した各研究所の専門知識を提供できるほか、非常に広範なプロジェクト要件と複雑なシステムソリューションにも対応可能となっています。

表面に関するお困りごとがありましたら何でも、‟神奈川発フラウンホーファーモデル”を目指す当コンソーシアムに、是非ともご相談ください。

以下、「フラウンホーファーモデル」について。

公的研究機関の役割がしばしば比較される日本とドイツですが、ドイツの公的研究機関の特徴の一つとして、基礎研究が世界の最高峰にあるといわれる「マックス・プランク研究機構」、90弱の専門的な研究機関で構成される「ライプニッツ研究機構」など、公的な研究機関が数多く存在することが挙げられます。中でも、「フラウンホーファー研究機構」の果たしてきた産学連携における役割の大きな存在感は、残念ながら日本では比肩する機関が存在しないように思われます。

 

フラウンホーファー研究機構は1949年に創設されましたが、当初の研究開発業務がうまくいかなかったことから、1970年ごろにいわゆる「フラウンホーファーモデル」を作り上げ発展させてきました。フラウンホーファーモデルの要点は、産業界や公的機関との契約に基づく研究開発を主要な事業としたことでした。具体的には、年間研究費総額の約29億ユーロの予算のうち25億ユーロ超が委託研究によるもので、研究費総額の70%以上が民間企業からの委託契約、さらに公共財源による研究プロジェクトから発生しています。残りの約30%はドイツ連邦政府および州政府により、経営維持費としての資金提供が行われているというわけです。

 

フラウンホーファー研究機構の活動は応用研究とされ、その特徴の一つは大学との緊密な関係にあります。ドイツ各地にある、マイクロエレクトロニクスから材料・部材、光・表面技術、生産技術、ライフサイエンスまでの幅広い分野からなる76の研究所・研究施設のすべての所長を、大学の教授が兼任しています。これはイノベーションの源泉が大学にあるとの考えからで、所長を大学教授が兼ねることから、多くの博士課程学生やポスドクが大学から研究所に来てフラウンホーファーの活動に参画します。そうした若手人材は契約している企業と接触する機会が多いため、自然とその研究は実用的な応用研究となり、また、博士号取得後には企業が熱望してやまない人材として就職していく、というキャリアパスも確立しているようです。

 

フラウンホーファー研究機構では、ビジネスの成功の重要な鍵を握るのはアイデア力と、そのアイデアを市場ニーズに合わせた製品へすばやく変換する能力ととらえ、情報とノウハウ伝達の迅速化を主な目標に掲げています。その各研究施設は、企業規模や産業分野を問わず、先端設備を備えたテストアウトソースとして、また専門分野に特化したサービスパートナーとして、あるいは組織上・戦略上の問題を相談できる熟練したコンサルタントとして活用されています。各研究所の擁する多くのプロジェクト・品質管理プロセスはクライアントの課題解決や質の高いアウトプットに貢献しています。

 

 

カーボンニュートラルの実現に向けて

カーボンニュートラルの実現に向けて

 2015年の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で採択され、2016年に発効した気候変動問題に関する国際的な枠組み「パリ協定」では、2020年以降の温室効果ガス削減に関する世界的な取り決めが示されました。大気中の二酸化炭素(CO2)の濃度が倍になると気温が約3℃上がるといわれる中で、CO2排出量を削減して、産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑える目標が掲げられたのです。21世紀後半には、温室効果ガス排出量と森林などによる吸収・除去量のバランスをとって全体でゼロにする「カーボンニュートラル」に向けた各国政府の取組みが始まり、わが国は2050年のカーボンニュートラル実現の目標を掲げています。

しかしながら、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書によると、現時点で世界の平均気温は1.1℃も上昇し、許容されるCO2排出量の枠(カーボンバジェット)は残り500ギガトンしかなく、今のペースで排出を続けると2030年ごろに上限に至る、つまりカーボンバジェットを使い切ってしまう、とのことです。

カーボンニュートラル実現のうえでは実に様々な技術が必要とされますが、摩擦を低減してエネルギーロスを抑えCO2排出量を抑制する材料の表面改質技術も、その一つといえるでしょう。

弊社は、表面形状効果によって食品粉体などの付着防止や滑り性向上を実現する微粒子投射技術「WPC処理® マイクロディンプル処理®(MD処理®)」をキーテクノロジーとして、その技術を常に進化・発展させることによって、安心・安全に食品ロスや生産性の悪化(エネルギーロス)といった問題を解決。これによって、より一層の環境負荷低減につなげ、社会の発展に貢献していくことを使命に掲げています。

弊社では、さらなる環境負荷低減、カーボンニュートラルの実現に向けて、表面改質技術の終わりなき向上を目指しています。引き続き、弊社の取組みに是非ともご注目ください。

コラム  耐性菌について・・・

薬剤耐性菌に対策あり⁉

 感染症を引き起こす細菌を殺したり、細菌が増えるのを抑えたりする抗菌薬(抗生物質)が効かない、「薬剤耐性菌」。薬剤耐性菌による死亡者数は全世界で100万人を超え、エイズウイルス(HIV)やマラリアよりも多くの命を奪っているようです。

比較的高度な治療が受けられ、院内感染対策も進んでいる日本では、薬剤耐性菌の感染症の発生数は少ないとはいえ、主要な薬剤耐性菌による死者数は年間1万数千人に及ぶと見られ、入国制限の緩和された現在、衛生・医療の対策が十分に整っていない国からの薬剤耐性菌の流入による、感染者数の増加が懸念されています。

 約100年前に見つかったペニシリンをはじめ様々な抗菌薬が出てきましたが、抗菌薬がたくさん使われるようになると、薬の成分を分解したり体にくっつかないように変位したりして耐性を身につけた細菌が、いろいろと登場してきました。そうした薬剤耐性菌に感染して薬剤耐性を持つようになっても、毒性が高まるというわけではなく、健康な人ならば免疫で抑えられることも少なくはありません。それでも、子どもやお年寄り、持病がある人などは薬剤耐性菌への抵抗力が弱く、感染症にかかることがままあります。効く薬が少ないために治すのが難しく、重症化したり死亡したりすることもあり、中でも多くの抗菌薬が効かなくなる「多剤耐性菌」も問題になっています。

 身近な細菌の中にも、薬剤耐性菌を持つ黄色ブドウ球菌や大腸菌などがあります。薬剤耐性菌への対策の一つとしては、新薬を作ることが挙げられますが、新薬が実際に使えるようになるまでにはお金も時間もかかるうえ、新薬ができたとしてもそれにもいずれ耐性菌が現れるという、イタチごっこの様相を呈しています。

こうした問題に対し当社の微粒子投射処理「マイクロディンプル処理®(MD処理®)」は、処理を施した基材において大腸菌や黄色ブドウ球菌に対する抗菌性能が付与されることが、大学や研究機関との実験と検証により確認されています。MD処理®はコーティングでもなく薬剤も使用せずに、形状による物理的作用を実現するため、薬剤耐性菌ができる心配がない安心・安全の手法と言えます。

弊社では現在、大学と共同で、MD処理®の大腸菌や黄色ブドウ球菌などに対する抗菌に関するメカニズムを解明しつつあります。薬剤耐性菌への対策ともなりうる、抗菌処理としてのMD処理®に、ぜひとも今後もご注目ください。

ワールドカップ VARモニターにもバイオメティクス?? ~テクスチャ形状効果について~

 

生物の観察や分析から得た着想をものづくりに活かす科学技術は、「バイオミメティクス(生物模倣)」と呼ばれます。

その歴史はとても古くて、1940年代には、植物の種が動物の毛に付着することを模倣した面状ファスナー(マジックテープ)が製品化されています。

しかしここにきて、いろいろな分野においてバイオミメティクスの産業応用が進んできています。

その背景としては、昔ながらの肉眼での生物観察に代わって、電子顕微鏡の進歩によって、肉眼では観察できない生物の特徴を捉えられるようになったことが挙げられるようです。

つまり現在主流の観察ツール、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いることで、生物の表面に形成されたサブセルラー・サイズ構造(細胞内部や表面に形成される数百nm~数μmの構造)の観察が可能となったことで、生物固有の機能を発現させる特徴的な表面構造が発見されて、新製品や新材料を開発するヒントを得ることができるようになったわけです。

バイオミメティクスの活用事例としては例えば、「ハスの葉の表面を模倣したヨーグルトのフタ裏」が有名ですね。ハスの葉の表面には、高さ5~15μmの突起物が20~30μm間隔で存在し、ナノメートルからミクロンレベルの階層性を有する凹凸構造と分泌されるプラントワックスの相乗効果によって超撥水性が発現される、といわれます。この構造を模倣したヨーグルトのフタ裏では、これまではベッタリと付着していたヨーグルトが付着しにくくなって、フタを開けるときに手が汚れにくいなど消費者はストレスフリーになったなど、まずまずは好評といった体です。

最近の例では、可視光線の波長(380~780nm)よりも小さい広い範囲の波長で光の反射をなくし映り込みを減らすことができる、「蛾の眼(モスアイ)」の機能を模倣した反射防止フィルムがあります。モスアイのようにフィルム表面に高さ200nmの突起を100nmの間隔、つまり1mm四方の中に1億個の突起を形成することによって、広い波長範囲にわたって反射の色味が少なく広い視野角で反射率が低いといった性質が得られ、映り込みが少ない、色再現性に優れるといったメリットから、絵画などの額装向けで採用が多いようです。「FIFA ワールドカップ カタール2022」で話題になったVAR(ビデオアシスタントレフェリー)のモニターにも使われていて、SAMURAI BLUEに勝利をもたらす極めて微妙な判定?に貢献したとの話もあります。

こうして見ると産業応用されているバイオミメティクスの多くは、表面テクスチャ(微細な凹凸構造)による「形状効果」を利用した事例といえる気がします。

一方で、バイオミメティクスを活用する際の留意点としては、上述のような負荷があまりかからない静的な用途は別として、機械部品のようにある程度の負荷がかかる動的用途における、形状効果の保持が可能かといったことがいわれています。

 こうした点では、微粒子投射処理である弊社の「マイクロディンプル処理®(MD処理®)」は、各種機械部品の負荷のかかるような条件においても表面テクスチャの形状効果を保持することで、長期間にわたり食品粉体の滑り向上と付着抑制を実現するほか、MD処理®はコーティングではないため食品・衣料分野で問題視される「異物の混入」がない上、一般細菌の運動を阻害してその繁殖を抑制する効果が立証されつつあります。

 MD処理®はバイオミメティクスを目的に開発した処理ではないのですが、バイオミメティクスに共通するMD処理®の「テクスチャ形状効果」は、機械部品などの負荷のかかる動的な用途でも確実に発現され、食品機械の様々なアプリケーションで採用され、生産性向上や食品ロス、に寄与しています。

 さらに負荷のかかるアプリケーションでは、MD処理®の「テクスチャ形状効果」を保持する硬質薄膜ダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングを被覆する複合処理を提案しています。 弊社のDLCコーティングは、アメリカ食品医薬品局(FDA)を認証しており、食品および医薬品の製造工程に最適です、

 食品工場いおいてさらなる生産性向上や安全衛生面での改善を図りたい方々は是非とも、食品分野において抗菌を含めて様々な利点をもたらす「テクスチャ形状効果」、さらにはテクスチャ形状の保持の技術で適用実績ならびに理論構築の豊富な弊社にご相談ください。