A.処理はどんなものでも出来ますが、効果が期待できないものとして次のようなものが挙げられます。
■洗浄が十分に出来ないもの
処理により微細なショット、特に仕上げに使うショットが残ります。通常洗浄すればきれいに落とすことができますが、分解できないベアリングや油穴が複雑でトマリ穴のあるシリンダーブロック等はなかなか完全な洗浄は困難です。
■チル化した鋳物
鋳物の中でも摺動性を上げるために、部分急冷させて非常に硬くてもろいチルという組織を意図的に作る場合があります。車の部品でいうと、カムシャフトがあります。チル化した組織は熱処理であるWPC処理®を受け入れにくいと言えます。削り出しのカムシャフトであれば問題ありません。現在、チル鋳物の標準処理として二硫化モリブデンショットを採用しています。
■特殊な表面処理が施されたもの
通常の表面処理であれば問題ありませんが、一部特殊な表面処理をした部品があります。例えばロータリーエンジンのハウジングが挙げられます。硬質クロームのポーラスメッキかと思われますが、このようなものは処理により摺動性を向上させる面を作ることが出来ません。
現在、ロータリーハウジング類の標準処理として二硫化モリブデンショットを採用しています。
■金属以外のもの
ゴム、プラスチック部品に二硫化モリブデンショットを施すことにより、摺動性を大幅に高める事ができる可能性があります。