2026.03.06
DLCコーティングと相性の良い金属材料ランキング
DLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングは、低摩擦・高硬度・耐摩耗性を兼ね備えた優れた表面処理として自動車部品、金型、切削工具など幅広い分野で使われています。
しかし実際はどんな材料でもDLCがうまく付くわけではありません。
DLCは基材との相性によって性能が大きく変わります。特に重要なのは次のポイントです。
-
・基材硬度 ・熱膨張係数 ・表面の安定性 ・中間層との相性
今回は、実用実績やトライボロジーの観点から
「DLCコーティングと本当に相性が良い金属」をランキングにまとめてみました。
「DLCコーティングと本当に相性が良い金属」をランキングにまとめてみました。
第1位 焼入れ工具鋼(SKD・SKHなど)
代表例
SKD11
SKH51
SKD61
SKD11
SKH51
SKD61
DLCと最も相性が良い材料はやはり焼入れ工具鋼です。
その理由は非常にシンプルで、
・基材硬度が高い(HRC60前後)・DLC膜をしっかり支えることができる ・熱膨張係数が比較的近い ・表面状態が安定している
といった条件が揃っているからです。
実際、DLCの採用事例を見ると冷間金型、パンチ、切削工具、摺動部品など、工具鋼ベースの部品が非常に多いことが分かります。
評価
密着性 ★★★★★
実用性 ★★★★★
密着性 ★★★★★
実用性 ★★★★★
第2位 高炭素鋼・マルテンサイト系ステンレス
代表例
SUS420J2
S55C
SK85
SUS420J2
S55C
SK85
焼入れ可能な鋼材は、DLCの基材として非常に優秀です。
これらの材料は焼入れ処理によってHRC50〜60程度の硬度まで上げることができます。
硬いDLC膜を安定して保持できるため摺動部品では非常に相性の良い組み合わせになります。
例えばシャフト、バルブ部品、刃物、精密機械部品などで採用されることが多く、現場でも実績の多い材料です。
評価
密着性 ★★★★☆
実用実績 ★★★★★
密着性 ★★★★☆
実用実績 ★★★★★
第3位 超硬合金(WC-Co)
代表例
超硬ドリル
超硬エンドミル
超硬チップ
超硬エンドミル
超硬チップ
超硬合金は非常に硬く摩耗に強い材料です。そのためDLCとの組み合わせでも優れた耐摩耗性を発揮します。
ただし注意点もあります。
超硬に含まれるコバルト(Co)はDLCの密着性を低下させることがあるためコバルト除去処理(表面エッチング)を行うことがあります。
超硬に含まれるコバルト(Co)はDLCの密着性を低下させることがあるためコバルト除去処理(表面エッチング)を行うことがあります。
適切な前処理を行えば、非常に安定したDLC膜を形成することができます。
評価
密着性 ★★★★☆
耐摩耗性 ★★★★★
密着性 ★★★★☆
耐摩耗性 ★★★★★
第4位 チタン合金
代表例
Ti-6Al-4V
チタン合金はDLCの密着性が特別良い材料ではありません。しかし摩擦低減効果が非常に大きい材料として知られています。
チタンは凝着しやすく、焼き付きやすいという特徴を持っています。
そのためDLCをコーティングすると摩擦低減、焼付き防止、摩擦低減といった大きな効果が得られます。
ただし、チタン表面には酸化膜が形成されやすいため実際のDLC処理では中間層の設計が重要になります。
評価
密着性 ★★★☆☆
摩擦低減 ★★★★★
密着性 ★★★☆☆
摩擦低減 ★★★★★
第5位 オーステナイト系ステンレス
代表例
SUS304
SUS316
SUS316
オーステナイト系ステンレスは耐食用途で多く使われる材料ですがDLCとの相性はあまり良いとは言えません。
理由としては基材硬度が低く加工硬化しやすいといった点があります。
※注目ポイント※
そのためDLCを施工する場合はイオンエッチング、中間層形成、窒化処理などの下地処理が非常に重要になります。
評価
密着性 ★★☆☆☆
実用性 ★★★★☆
密着性 ★★☆☆☆
実用性 ★★★★☆
第6位 アルミニウム合金
代表例
A5052
A6061
A7075
A6061
A7075
アルミニウムは軽量化材料として非常に重要ですがDLCとの相性はあまり良いとは言えません。
主な理由は次の2つです。
① 熱膨張係数が大きい
温度変化によって膜応力が発生しやすい
温度変化によって膜応力が発生しやすい
② 基材が柔らかい
硬いDLC膜を十分に支えられない
硬いDLC膜を十分に支えられない
※注目ポイント※
DLCを施工する場合は中間層、応力緩和層などを設計して密着性を改善する必要があります。
評価
密着性 ★☆☆☆☆
軽量用途 ★★★★☆
密着性 ★☆☆☆☆
軽量用途 ★★★★☆
DLCと相性が悪い材料
代表例
-
銅
-
真鍮
-
亜鉛
-
鉛
これらは比較的柔らかい材料のため硬いDLC膜を支えきれず膜割れや剥離がおこりやすいのが理由です。
※まとめ※
DLCと相性の良い金属には、ある共通点があります。
それは「基材が硬く、安定していること」です。
今回のランキングをまとめると次のようになります。
1位 焼入れ工具鋼(★★★★★)
2位 高炭素鋼・マルテンサイト系ステンレス(★★★★☆)
3位 超硬合金(★★★★☆)
4位 チタン合金(★★★☆☆)
5位 オーステナイト系ステンレス(★★☆☆☆)
6位 アルミニウム合金(★☆☆☆☆)
2位 高炭素鋼・マルテンサイト系ステンレス(★★★★☆)
3位 超硬合金(★★★★☆)
4位 チタン合金(★★★☆☆)
5位 オーステナイト系ステンレス(★★☆☆☆)
6位 アルミニウム合金(★☆☆☆☆)
DLCを成功させるためには基材選定と下地設計この2つが非常に重要になります。
用途や条件によって最適な組み合わせは変わりますが材料選定の参考にしてみてください。